発達障害児のよりよいサポートのために

勇気を出して専門機関へ | 説明を聞くポイント | 対応の基本

勇気を出して専門機関へ

 子どもが他の子どもと違うということを告げられるのは、保護者の方にとってどれ程苦しいことなのか、想像するに難しくありません。できることなら聞きたくない、知りたくない、認めたくないという気持ちを持つのは当然のことです。

 しかし、できるだけ小さなうちから、周囲が子どもの発達特性を理解しているという事は、弱さを持つ子どもの成長にとって最も重要なことです。レッテルを貼るのではなく、子どもが必要以上にプレッシャーを受けず、もてる力を最大限に発揮できるよう援助するために早期に専門機関を訪れましょう。

【心理検査を受けましょう】

 子どもの発達障害の発達特性を客観的に示してくれるのが心理検査です。知的側面(IQ)や認知の偏りなどを理解するために心理検査を受けましょう。
 子どもの知的発達の段階と力のばらつきが見やすいものとして、WISC-III、K-ABC、ITPAなどがあります。
心理検査は、療育機関、病院、教育センター、教育研究所などで受けることができます。
ただし、心理検査は、子どもを知るうえで貴重な資料ですが、その子の全てがわかる資料とはなりえません。
 ADHD、アスペルガー症候群、LD(読み書き障害)などは心理検査に出にくい特性ですので、行動観察の上での判断が必要です。

【診断を受けましょう】

 “診断”は原則として医師が行うことになっています。
ADHDなどでお薬を必要とする場合は、医師の判断が必要です。けれども、現在発達障害について適切な診断をしてくださる病院はまだ少ないのが現状です。特に、ADHDがあるか否か、高機能自閉症(含むアスペルガー症候群)があるか否かについては、医師によって診断が異なることは少なくありません。また、コミュニケーションや行動上の問題について、LD(学習障害)のみ指摘された場合は、誤診の可能性がありますので、別の病院で再度診断を受けましょう。
 医師の専門分野の関係で、ある病院ではADHD、ある病院では高機能自閉症やアスペルガー症候群と診断されるなど、診断名が一致しない場合は、どの特性も持っていると考える必要があるかもしれません。
また、医師によって診断が出ない場合でも、子どもの特徴をふまえた育て方が、不適切な言動が定着せずに健やかに育つことができることも少なくありません。

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発達障害についての説明を聞くポイント

 医療機関・療育機関で発達特性の説明を受けるときは、必ず心理検査の結果を見せていただき、以下のポイントについて説明を受けましょう。

・二次障害(環境による心の問題)か生得的特徴(生まれもった特徴)か

 生得的な特徴であっても、「わがまま」「反抗的」「非常識」「やる気がない」など本人の性格の問題・親の躾の問題と受け取られる場合があります。また、生得的な特徴が引き金となって二次障害を起こすことも少なくなく、二次障害にもともとの生得的な特徴が見逃される場合もあります。二次障害と、生得的な特徴とでは対応が異なりますので、専門的な視点での、二次障害か生得的な特徴かの判断はとても重要です。

・知的側面

 とかくADHDや自閉傾向の側面のみに注目しがちですが、知的発達に遅れがあるか否かが子どもに対応する上でとても重要なポイントです。子どもにとって、簡単すぎず、難しすぎないハードルの設定が、二次障害を起こさず、持てる力を発揮させるための大切な援助となります。

・それぞれの傾向と重複の程度

 ADHD<注意欠陥/多動性障害>・高機能広汎性発達障害<高機能自閉症、アスペルガー症候群>・LD<学習障害>があるかないかを確認しましょう。発達障害を持つ子どもは、上記の傾向が複数重複する可能性がとても高いといえますので、どの障害をどの程度もっており、日常生活に最も支障を来す障害は何なのか具体的に説明を受けましょう。

・心理検査の結果や発達特性が日常にどう影響するのか

 心理検査を受けた場合、検査自体の説明にとどまらず、検査の結果と発達特性が“その子”の日常生活のどの部分にどの様に影響しているのか、そして、どう対応すればいいのかを具体的に確認しましょう。“その子”のために、周囲がすぐに取りかかれる具体策の提示がない場合、または、周囲が問題意識を持っているのに、『問題ない』『様子を見ましょう』と言われた場合は、別の機関でのセカンドオピニオンも必要かもしれません。

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発達障害児への対応の基本

・本人が悪いのではない、そしてお母さんのせいではない

 発達障害児は、もともとバランスよく育てにくいのであって、誰のせいでもありません。家族は罪悪感を持たずに、学校、専門機関、ご近所など、様々な立場からの手助けをお願いしましょう 。

・ハードル設定の意識…得意・不得意の区別

 発達障害を持つ子どもは、得意・不得意のバランスがよくないので、あれ(得意)ができるのだから、これ(不得意)くらいできて当然と、得意・不得意を同じレベルでハードル(目標)設定するとクリアが難しく、子どもも周囲もストレスを感じ、二次障害のもととなります。得意・不得意を区別して考え、得意分野には高めの、不得意分野には低めのハードル設定をしてあげましょう。

・何度も繰り返すだけでは効果がない

 何度言い聞かせても、やらせてもうまくいかないのは子どもが悪いのではなく、その子に合わない「伝え方」や「やり方」が原因の場合がほとんどです。繰り返してもうまくいかない場合には、子どもを責めるのではなく、「伝え方」「やり方」は適切であったか考え直してみる必要があります。また、「伝え方」「やり方」は適切であっても、どうしても子ども自身が欲求や感情をコントロールできない場合がありますので、その場合は、クリアしてほしいハードルの高さを考え直してみる必要があるかも知れません。

・気分転換

 発達障害を持つ子に日常的に対応する場合、家族に慢性的にストレスが掛かることがあります。ストレスを抱えたまま子どもに対応するのは、お互いにとって良い結果は得られません。家族で連携を取り、特にお母さんは、時折子どもと距離を置いたり、趣味や旅行などで気分転換をはかりましょう。子どもの発達特性を理解した上で、家族が余裕をもって子どもに接する環境自体が、発達障害を持つ子どもにとって、とても大切なことなのです。

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